デュアルタイム表示機能と1/20秒ストップウォッチ機能を備えた最新ムーブメントCal.5X83が搭載されている。

国境なき医師団とのコラボレーションモデルは、本作で3作目。国境なき医師団の設立50周年とセイコー創業140周年にあたる2021年にスタートし、2年ごとに発売がされている。今回発売される2モデルの販売で得られる売上金額の5%が国境なき医師団に寄付され、病院での太陽光発電など、CO₂排出量を減らしながら医療援助を提供する「環境負荷削減プロジェクト」に活用される。発売されるのはGPSソーラーモデルとソーラー電波モデルの2機種で、いずれも国境なき医師団のブランドカラーであるレッドをアクセントカラーにした特別なカラーリングだ。
透明感のあるホワイトシルバーカラーのダイアルをベースに国境なき医師団のブランドカラーであるレッドをあしらっている。つややかな光沢を放つホワイトセラミックスを、ベゼル、ブレスレットの中央の列、リュウズの先端に採用し、限定モデルならではの特別仕様が施されている。デュアルタイム表示機能と1/20秒ストップウォッチスーパーコピー機能を備えた最新ムーブメントCal.5X83が搭載されている。

ジンは20年にわたり、ダイバーズウォッチに「Uボート・スチール」を用いてきた。Uボート・スチールは、ドイツの潜水艦のために開発された特殊鋼であり、その特徴は高降伏点鋼(高張力鋼=ハイテン)であることだ。高降伏点鋼は、強い力が加わった際に変形して元の形状に戻らなくなるまでの耐力が高い鋼材であり、これは潜水艦の外壁として優れた特性だ。加えて、Uボート・スチールは耐海水性能が高く、残留磁気の無い非磁性体である。これらの特性はダイバーズウォッチにとっても好適であり、ドイツを拠点として特殊時計を作り続けてきたジンのバックグラウンドとも合致する素材として魅力のひとつとなってきた。

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従来のモデルでは未使用の鋼材として納入されたものを使用してきたが、発表された3つの限定モデルでは、長きにわたって海洋の安全を守ってきた潜水艦の外壁を用いている点が注目ポイントだ。

平滑にされた外壁の上に置かれた「U15」。厚みのある外壁をウォータージェット・カッターによって円筒状に切り出す。その際に“芯”となる円柱状の端材が本作に付属する。
注目すべきは、その製造方法である。外壁を溶かして再利用するのではなく、取り外した外壁を平滑に矯正(潜水艦は円筒型のため外壁は弧を描いている)した後、ミドルケースと回転ベゼルに必要な形状に切り出している点だ。長年、潜水艦を守ってきた外壁が、切り出してそのまま時計の外装となりえる品質を備えていることは、素材そのものの品質が高く、高い耐久性を備えていることの証拠である。

本作の製造を可能としたのは、素材の優秀さだけではなく、ジンのケースを供給してきたSUG(ザクセン時計技術社グラスヒュッテ)の高い技術力と、長年にわたって第一線で活躍可能な潜水艦を設計、製造したドイツのエンジニアリングや各潜水艦の貢献に対するリスペクト、そしてそれを時計へと落とし込んでファンに提供しようとするジンとSUGの情熱であろう。