審査委員の心を揺さぶった、様式化する技術

公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、2023年度グッドデザイン賞の受賞商品が発表された。そのうちの1つが、シチズン「シチズンコレクション」の「レコードレーベル 1984 chronograph」だ。

本作は、1984年に発売された多機能アナログクォーツクロノグラフである「スポルテMS」のデザインをベースに、現代的なアップデートを加えたモデルだ。特徴的なベゼル上の飾り穴や、すっきりとしたブレスレットはそのままに、最新の光発電エコ・ドライブムーブメントを搭載している。ムーブメントの変更に伴い、プッシュボタンは2つへと変更されているが、そのことによって現代的でスタイリッシュな印象に生まれ変わっている。セレクトショップの別注モデルなどを含めると、豊富なバリエーションがラインナップしているが、今回受賞したのはレギュラーモデルのブラックダイアル「AT2540-57E」と、ホワイトダイアル「AT2541-54A」だ。1984年の「スポルテMS」のデザインを踏襲し、現代的に再構築したモデル。3つのスモールセコンドは、24時間計とスモールセコンド、60分積算計だ。光発電クォーツ。SS(直径38mm、厚さ9.5mm)。5気圧防水。3万3000円(税込み)。
いわゆるパンダダイアルもラインナップしている。ベゼル上の飾り穴やケースからブレスレットに繋がる一体感のあるラインなど、オリジナルのデザインを色濃く受け継いでいる。光発電クォーツ。SS(直径38mm、厚さ9.5mm)。5気圧防水。3万3000円(税込み)。
グッドデザイン賞審査委員からは、80年代の製品をモチーフとしながらも、現代の人々を取り巻く環境に合わせて新たな製品として昇華されている点を高く評価されたようだ。特に、“当時のデザインに経緯を持ちつつ、それを様式的に展開した。その技法や雰囲気を⾒たときに、どこかホッとするのは、作り上げられたコンテクストや物語性に心奪われるからだろう。様式化する技術。時代を感じるデザイン。技術革新だけでは語れない内容だと感じた。”というコメントは、レコードレーベルの持つコンセプトがスーパーコピー時計製品に混じり気なく反映され、審査委員に届いているという証左だろう。今回の受賞をきっかけに、他のアーカイブピースにもスポットが当たり、現代に相応しい形で生まれ変わることを期待したい。

厚みは9.5mmであり、シャツの袖口を邪魔することなく使うことができるだろう。オリジナルでは4つのプッシュボタンを備えていたが、本作では2つに変更されている。

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